麻雀しながらFull house

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Si(111)表面上のインジウム鎖について

卒研のテーマであるが、今日は最近読んでいた論文を読み終えて新しくもう一本流し読みをしたので、それらを読んで理解したことをまとめておこう。

このインジウム鎖だが、高温と低温で構造、周期が変わる(4×1→4×2)。この系の解釈について、主に理論屋VS実験屋の構造が成り立っているようだ。一番の議論となっている問題は低温でのインジウム鎖が金属なのか半導体なのかということだ。理論屋さんは金属のままだと主張し、実験屋さんは金属ー半導体遷移が起こっていると主張している(高温では金属なので)。
(ただし僕は2007年以前に出されたものしかまだ読んでいないので、今どうなっているかはよくわからない。)

金属か半導体か?これはバンド分散を見て判定されるが、多くの実験ではフェルミエネルギーのところでband splittingが起きているバンドが実験データから観測されている。一方、第一原理計算による理論計算では、そのような(フェルミエネルギーをまたぐような)band splittingはないという結果が得られた。

理論屋さんの書いた論文は二本読んだが、その片一方のJun-Hyung氏らによる"Weakly correlated one^dimensional indium on Si(111)"では、実験屋さんのYeom氏らの実験データに関しての解釈を間違いだと言及した。(4×2)に対してのchainに沿ったphotoemissionの実験の結果によると、フェルミエネルギー付近での状態密度がほとんどの波数において下がっているが、これはバンドギャップが開いたのではなく、状態がバルク的でどうこういっているのだがここはよく理解できなかった。とりあえずその実験データにおいては、状態密度が下がるということよりも、明らかにピークがなくなっていることが本質だろうと思う。

もうひとつの論文については後でまとめよう。